転職エージェントの使い方
無料ですが、ボランティアではありません。
仕組みを知っているかどうかで、返ってくるものが変わります。
先に、この記事でいちばん大事なことを書きます。
面談は気軽に。応募は慎重に。
この2つは、まったく違う行為です。ここを混ぜると、あとで選択肢がなくなります。 理由はこの章に書きました。
なぜ無料なのか(先に知っておくこと)
転職エージェントは、私たち利用者からはお金を取りません。採用した会社側が、成功報酬を払っています。相場は、入社した人の年収のおよそ3割と言われます。
つまり、あなたが入社して初めて、相手に報酬が入ります。
これは悪い話ではありません。決まればお互いに得なので、本気で動いてくれます。ただし、あなたが動かなければ、相手の売上はゼロです。よく分かっていない担当ほど、決まりやすい会社にあなたを寄せようとします。この構造だけは、先に知っておいてください。
てん|建築業界20年
本当の価値は、求人の数ではありません
「非公開求人が多い」「相談できる」。よく言われますが、私が実際に助かったのはそこではありませんでした。
① 自分では思いつかない選択肢を出してくれる
私は2級建築士を持っていたので、設計職を狙いました。書類は通ります。でも面接で「実務経験がない」と言われて、10社落ちました。
残り時間がなくなってきたころ、担当の方にこう言われました。
「これまでやってきた仕事なら、こっちの会社も全然アリなんじゃないですか」
自分では、一度も考えていない方向でした。 そこから紹介された2社のうち1社に入って、いまに至ります。あの一言がなければ、2ヶ月では決まっていません。
資格や職種で自分を狭めていることは、自分では見えません。外から見てもらう価値は、ここにあります。
② 表に出ていない条件を、先に教えてもらえる
求人票に書かれていない条件は、実際にあります。 経験年数、資格の有無、転職回数。書けないけれど内部では決まっている、という線です。
これを知らずに受けると、最初から通らない会社に、志望動機を考える時間を使うことになります。現場をやりながらの転職活動で、これはかなり痛いです。
③ 落ちた理由が返ってくる
直接応募だと、落ちた理由は分かりません。エージェント経由なら、先方が何を言っていたかが返ってきます。
私は面接で、手描きの図面が弱いとはっきり指摘されました。 そのあと家で何枚も練習しました。落ちた面接は、次の面接の答えを1つもらったのと同じです。
④ 受ける順番を組んでもらえる
面接は、受けるほどうまくなります。だから本命から受けないほうがいいという考え方があります。
それに、条件の話をするなら、内定は1つより複数あったほうが強いです。 そのためには最終面接の時期をそろえる必要があります。 ここを一人で組むのは、現場をやりながらではまず無理です。
面談は気軽に、応募は慎重に
このページで、いちばん知ってほしいのはここです。
面談は、気軽にしていいです。無料ですし、断っても何も起きません。
でも「応募」は、まったく別です。
ある会社に、A社経由で応募したとします。するとその会社はA社の担当分になります。あとからB社のほうが信頼できると分かっても、その会社にB社経由で応募し直すことは、もうできません。
だから、この順番を守ってください。
- 複数のところと面談する(ここは気軽で大丈夫)
- 全部から求人を出してもらう
- 出そろってから、どこ経由で応募するか決める
初回の面談で「まず応募してみましょう」「数を打ちましょう」と急かしてくる相手は、ここを取りにきていると考えて構いません。
急かされたときの断り方は、これで足ります。
「いま他にも面談を入れているので、求人が全部出そろってから決めます。○月の中ごろまで待ってください」
これで押し切られることはありません。エージェントに、応募させる権利も入社させる権利もないからです。決めるのは、最後まであなたです。
大手と特化型、どちらを使うか
| 大手・総合型 | 建設・施工管理の特化型 | |
|---|---|---|
| 強み | 求人の幅。地方の小さい会社まで持っている | サポートの厚さ。業界の話が通じる |
| 弱み | 1人あたりの対応が薄くなりやすい | 当たり外れが大きい |
| 向くとき | 業種も職種もまだ絞れていない | 建設の中で会社を変えたい |
建設の中で会社を変えたいなら、特化型を1つは入れてください。現場の話が通じない相手に、自分の経験を一から説明するのは、それだけで消耗します。
ただし特化型は、いいところと、そうでないところの差が大きいです。だから最低2社と面談して比べてください。1社だけでは、その1社が普通なのかどうかも分かりません。
てん|建築業界20年
いい担当かどうかを、3つで見る
初回の面談で、これだけ見れば十分です。
1. 「なぜそう思ったんですか」と、しつこく聞いてくる
希望を鵜呑みにせず、その裏にある理由まで掘る担当は、あとで的外れな求人を送ってきません。逆に「現場がきついんですね、では別の職種を探します」で終わる担当は、まず外します。
2. 同業他社との違いを、聞かなくても話せる
「その会社は元請けが中心か、下請けが中心か」「同じ規模の会社と何が違うか」。ここが出てくる担当は、その業界を本当に見ています。
3. 紹介の理由が、自分の話とつながっている
なぜこの会社なのかを聞いて、「年収が高いので」しか返ってこないなら、あなたの話は聞かれていません。
私が最初のときに止まった理由も、ここでした。登録はしたのに、欲しい求人が1つも来なかったんです。 それで「やっぱりないんだ」と思って、そのまま何年も動きませんでした。いま思えば、来なかったのは求人がなかったからではなく、私の話が伝わっていなかったからです。合わないと感じたら、そこで止まらずに、別のところと話してください。
面談で聞く質問(そのまま使えます)
遠慮しなくて大丈夫です。答えられる相手なら、むしろ喜んで答えます。
「私の場合、面談は何回くらいしてもらえますか?」
回数の決まりはないので、担当は少なめに言いがちです。3〜4回なら普通、5回以上なら手厚いほうです。「人によります」とだけ返ってきたら、「私の場合は」と聞き直してください。
「その会社への紹介、直近1年で決まった実績はありますか?」
この質問がいちばん効きます。「紹介できます」は誰でも言えますが、実際に入社まで決まった件数は、厚生労働省へ報告する義務があるので必ず記録が残っています。答えられないのは、パイプがないということです。1件でもあれば十分です。
「過去にその会社の面接で何を聞かれたか、誰が落ちたか分かりますか?」
本当に強い相手なら記録を持っています。「面接官によりますね」でぼかされたら、その会社には強くありません。
それと、紹介されていない会社でも、受けたいと言えば受けられます。私は選考の途中で「この会社を受けてみたいのですが」と自分から言って、そこにも通りました。出てきたリストの中からしか選べない、ということはありません。
担当に本気を出してもらうには
相手がいちばん困るのは、連絡が返ってこなくなることです。 そこまで動いた分が全部ゼロになるので、その気配があると扱いが軽くなります。逆に言えば、対策は簡単です。
- 「いい求人があれば転職したい」とはっきり言う(今すぐです、まで言う必要はありません)
- 返信を早くする。すぐ答えられないときも「○日までに返します」とだけ返しておく
- 応募先を決めたら「あなたに絞りました」と伝える
- 本音で話す。取り繕うと、掘ってもらえません
現場が忙しくて即返信できないのは当たり前です。「今週は現場が立て込むので、土曜に返します」で十分です。返さないことだけが問題になります。
言いにくいことを、どこまで話すか
休職したことがある、体調を崩したことがある。言うべきか迷う人は多いです。
隠しても分かってしまうことは、先に話したほうが楽です。休職は、入社後の住民税の額から分かってしまうことがあります。
最初の面談から全部話す必要はありません。信頼できると思った相手にだけ、「面接ではどこまで話したほうがいいですか」と相談する形にしてください。
合わないと思ったとき
担当を替えてほしい、とは言いにくいものです。言わなくていいです。
同じ会社の中で担当を替えても、やり方はあまり変わりません。合わないと思ったら、会社ごと替えたほうが早いです。まだ応募していなければ、何も失いません。
ここでも、応募を先にしていないことが効いてきます。応募する前なら、いつでも降りられます。だから応募は慎重に、なのです。
まとめ
- 無料なのは、会社側が成功報酬を払っているから
- 価値は求人の数ではなく、自分では思いつかない選択肢・裏の条件・落ちた理由・受ける順番
- 面談は気軽に、応募は慎重に。先に応募すると、その会社は1社に固定される
- 建設の中で動くなら特化型を1つは入れる。ただし2社は比べる
- いい担当は深く聞き、業界の中身を話し、紹介の理由が自分の話とつながっている
- 迷ったら「その会社、直近1年で決まった実績はありますか」と聞く
- 合わなければ会社ごと替える
どこに相談するかは、トップページの比較にまとめています。 確かめる順番のほうは、転職の順番に置きました。
てん|建築業界20年