「施工管理はきつい」の正体は、体力じゃなかった
15年やって、本当に消耗したのは力仕事ではありませんでした。立場の違う相手に囲まれて、頭がパンクすることでした。
「施工管理はきつい」と言われます。本当です。
ただ、私が一番きつかったのは、力仕事でも、暑さでもありませんでした。
きつさの正体は「お客さんが多すぎること」
私が一番きつかったのは、いまの会社に中途で入った直後です。 同じ業界にはいましたが、現場の管理をしたことがなく、図面もちゃんと書いたことがなく、 一人でお客さんと商談したこともありませんでした。そこへ、いきなり放り出されました。
何がきつかったか。「お客さん」と呼ぶべき相手が、異常に多かったことです。
- 施主——本当のお客さん
- 設計——社内のお客さん
- 営業担当——これも社内のお客さん
- 職人——実際に手を動かす人。しかも職種がバラバラ
- 近隣住民——現場の周り
この全員が、それぞれの立場で、それぞれの言い分をぶつけてきます。どれも間違っていないのが、また厄介なところです。
職人から
「そんなの、そっちで何とかしてくれよ」
「今言われたって直せねえよ」
設計から
「なんでここ、言った通りになってないの。俺はこういう風には言ってない」
施主から
「私はこのイメージじゃなかった。でも私、素人だからわからない」
※ すべて記憶をもとにした要約です。実際の言葉どおりではありません
こうなると、自分がどこに向けて仕事をしているのか、分からなくなります。
八方美人でいると、崩壊します。
かといって、自分がこうだと思って進みすぎると、誰も相手をしてくれなくなります。それぞれの言い分を汲み取りながら、良いものにしていく—— これが、最初はまったく分かりませんでした。
当時は終電ぎりぎりまでやって、それでも終わりませんでした。 休みの日も「あれもやってない、これもやってない」が頭にちらつきました。頭の中がパンクする、という感覚がずっとありました。
体力ではありません。処理しきれない量の板挟みです。「体力に自信がないから施工管理は無理」と思っている人がいますが、 消耗するところは、たぶんそこではありません。
もう一つのきつさ:クレームの負の連鎖
完全にキャパを超えた、と感じたのは、クレームが重なったときでした。 これには構造があります。
これは、本人の頑張りでは止まりません。人が足りていない現場ほど、この輪が速く回ります。
これは「慣れ」で抜けられる部分がある
ここまで書いておいて何ですが、この状態は、ある程度まで慣れで抜けられます。私自身がそうでした。
前の会社では、お客さんの前に立ちませんでした。だから、いつまでも自信が持てず、「自分は客の前に立てない人間だ」と思い込んでいました。ところが、実際に立って自分が話すしかない状況になったら、普通に話せるようになりました。
もうひとつ。つまずくところには、傾向があります。経験すると「ここは詰まりそうだ」「ここは問題になりそうだ」が事前に分かるようになります。 そうなると、同じ量の仕事でも消耗の仕方が変わります。
てん|建築業界20年
ビビって前に立たないでいると、いつまでもできるようになりません。これは、あとで「大きい会社なんて自分には無理だ」と決めつけていたときと、まったく同じ構造でした。 可能性を潰していたのは、毎回自分のほうでした。
それでも抜けられないなら、会社側の問題
ただし、慣れでどうにもならない部分があります。ここを混ぜてはいけません。
- 掛け持ちの件数が、そもそも一人で回せる量ではない
- 代わりがいないので、休むと現場が止まる
- 遅れの責任が、全部その場にいる一人に乗る
これは慣れの問題ではなく、人の置き方の問題です。会社と現場の組み方の話であって、あなたの適性の話ではありません。
ここを分けずに「自分には向いていない」と結論を出すと、行き先が「この仕事を辞める」しか残らなくなります。実際には、会社と場所が変わるだけで別の仕事になることがあります。
最後に、これだけは書いておきたい
念のために書いておくと、いまは働き方改革で、以前よりかなり早く帰れる現場も増えています。 私が書いた「終電ぎりぎり」は、そのまま今の話ではありません。
それと、これは正直な話です。「気を遣う相手が多い」は、そのまま「助けてくれる人が多い」の裏返しでもありました。
設計から直しを求められて困ったとき、職人に「どうしたらいいですか」と聞くと、怒りながらも「じゃあ、こうやればうまくいく」と教えてくれます。職人に言われて困ったことを施主に伝えると、 「でも、こんな立派なものを作ってくれてありがとう」と返ってきたりします。 先輩は先輩で、同じ道を通っているので「お前も言われたか」で終わります。
答えが決まっていないから、大変だけれど飽きない。私が続いた理由は、たぶんそこです。
ただ、その良さは、限界の手前にいる人には届きません。だからこの記事は、良さの話から始めませんでした。 いま苦しいなら、まず「慣れの問題」と「人の置き方の問題」を分けてください。分ける手順は、次に置いてあります。
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この記事は、運営者本人が現場で見たことをもとに書いています。 会話は記憶をもとにした要約で、実際の言葉どおりではありません。 体感で書いている数字は、数えた記録ではありません。
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