同じ施工管理でも、会社と場所が変わると別の仕事になる
同じ会社の中で3回転勤しました。やり方も、付き合う業者も、上の考え方も全部変わりました。「どこ行っても同じ」は違います。
「どうせどこ行っても同じでしょ」
私も、そう思っていました。違いました。
これは転職の話ではなく、同じ会社の中で3回転勤した話です。 会社も、仕事の名前も変わっていません。それでも、仕事は別物になりました。
業者が2社しかない営業所に行った話
転勤したばかりの営業所は、工事をしてくれる協力業者が2社しかありませんでした。その営業所が抱えていたのは、月に平均20件ほどの物件です。
それを2社で回していました。当然、回りません。
行った初日から、先輩たちが「業者に工事を入れられない」と言って、電話ばかりしているのを見ました。 私はそのとき、純粋にこう思いました。
てん|建築業界20年
なぜ、業者を増やさないんだろう。
地域の事情もあったと思います(資材や車両を置く場所を確保しにくい地域だった、というのは私の推測です)。 ただ結果として、別の地域の業者を引っ張ってきて仕事を回す流れができました。そこから、現場の詰まり方がはっきり変わりました。
同じ会社です。同じ仕事の名前です。それでも「業者が足りなくて回らない」は、 本人の能力ではなく、その営業所が持っている条件の問題でした。
場所が変わると、何が変わるか
私が3回の転勤で実際に変わったのは、これだけあります。
- やり方・その場所のローカルルール
- 付き合う業者(誰に頼めるか、何社あるか)
- 担当・営業・設計の相手
- 現場のトップの考え方——営業所のトップ、その上のトップ。ここが一つ変わるだけで、仕事の振られ方も、依頼の仕方も全部変わります
転職ほどのインパクトはありません。それでも、これだけ変わりました。
ということは、会社そのものが変われば、変化はもっと大きいはずです。
もう一つ、実感として書いておきます。環境が変わるだけで気分がリフレッシュして、詰まっていた仕事が楽になることがあります。やり方を作り直すチャンスにもなります。 一度できあがった段取りやルールは、途中で全部作り直すのが大変ですが、移った直後だけは、ゼロから組み直せます。
分野の違いは「何人とやり取りするか」で決まる
同じ「施工管理」でも、分野によって仕事の中身は変わります。 その違いを一番はっきり説明できる軸が、「何社・何種類の業者とやり取りするか」です。
業者が増えるほど、調整——私は「交通整理」と呼んでいます——の量が増えます。短い工期で終わらせるために、何をどの順で発注しなければいけないか。業者が多い現場では、この段取りそのものが腕の見せどころになります。
業者が多い現場と、少ない現場のトレードオフ
ここは、あまり語られない話だと思います。
| 業者が少ない現場 | 業者が多い現場 | |
|---|---|---|
| 工期 | 短いことが多い | 長いことが多い |
| 調整の量 | 少ない | とても多い |
| 誰かが遅れたとき | リカバリーがきかない | 他の職人でカバーできる余地がある |
業者が少ない=楽、ではありません。一人に何かあった時点で、代わりがいないからです。 逆に業者が多い現場は、遅れを吸収する余地がありますが、そのぶん調整で消耗します。
どちらが大変かは、正直、比べられないと思っています。それぞれに、いいところと悪いところがあります。
では、どう選ぶか
私が使っている軸は、「自分がやりたいこと」と「自分が使える時間」を天秤にかけることです。
- やれることが多い分野(=調整が多い分野)は、充実感が増えます。 そのかわり、割かなければいけない時間も増えます。 そこに全部を振ると、「その給料で続けられるか」が問題になります
- 専門的な分野(=相手が少ない分野)は、時間をある程度自分で融通できるかもしれません。 ただし1件あたりの単価が下がる可能性があり、数をこなす形になって、 結果的に単純作業に近づくかもしれません
※ 後半は、私が経験していない領域についての推測を含みます。 たとえば「下請け1社だけでやっている業者がどういうやり取りをしているか」は、 私は経験していないので分かりません。分からないことは、分からないと書いておきます。
言いたいのは一つだけです。
「施工管理がきついから辞める」の前に、いまつらいのが「仕事そのもの」なのか「いまいる場所の条件」なのかを分けてください。 同じ会社の中で場所が変わるだけで、これだけ変わります。
分け方の手順は確かめる順番に、 きつさの中身は「施工管理はきつい」の正体に書いています。
辞めるかどうかを決める前に、確かめる順番があります。
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